パソコンの冷却方式を選ぶとき、「簡易水冷」と「空冷」の消費電力は気になるポイントです。本記事では両方式の特徴や人気モデル、設置時の注意点を簡潔にまとめました。あなたの用途に合うクーラーを選ぶ際の参考にぜひご覧ください。
簡易水冷の消費電力

ポンプ駆動分が常時追加

- ポンプで数ワット上乗せ
- 低負荷時も継続動作
- 動作音も増す可能性
簡易水冷ではファン駆動に加え、ポンプ分の消費電力が常に追加されます。アイドル時にもわずかに電力を使うため、空冷よりも数Wほど多くなる傾向が見られます。ただし高負荷時には冷却効果が高く、結果的にシステム安定に寄与しやすい点が魅力です。
製品にもよりますが、数ワット程度の上乗せが目安です。アイドル時もわずかに動作し続けますが、高い冷却効果が得られるので、総合的には安心です。
ファン本数と静圧重視仕様

ファンを増設し、静圧性能を高めるほど消費電力も上がりやすくなります。とくに360 mmクラスのラジエータを搭載する場合は、ファンが3基以上になるモデルが多いです。冷却性能と静音性のバランスを重視し、適切な回転数制御が可能なモデルを選ぶと安心です。
製品によりますが、3~4基搭載の360 mmラジエータが一般的です。ファン制御機能があれば、不要なときの回転数を抑えられます。
LED/LCD イルミネーション
- RGB制御で数W増加
- LCD搭載製品は更に上乗せ
- 表示演出が豊富
近年の簡易水冷はポンプヘッドにLEDやLCDディスプレイを備えたモデルがあり、ライティング機能の分だけ電力が増えます。多くの場合、RGB制御の範囲内で数Wほど増える程度ですが、LCDの表示機能が加わるとさらに数Wの消費が加算されることがあります。
多くはソフトウェアで制御可能で、オンオフや発光パターン変更も簡単にできます。消費電力を抑えたい場合は明るさを下げることも有効です。
温度変動に伴う可変負荷
簡易水冷ではポンプとファン回転数をCPU温度にあわせて自動制御するため、温度が上がるほど消費電力も高くなります。一方で負荷が低い場面では回転数が下がるので、その分電力を抑えられる利点があります。システム全体の電力管理を行うなら、ファンカーブの設定が重要です。
CPUや負荷状況により可変しますが、ポンプとファンが同時に高速化すると、アイドル時より10 W前後上がるケースもあります。
長時間ストレステスト時のピーク
高負荷が連続するストレステストでは、ポンプとファンの回転数が最大に近づくためピーク時の消費電力が大きくなりやすいです。とはいえ、比較的短時間のテストでは温度が一定に保たれると回転数が落ち着き、想定より大幅に消費が増え続けるわけではありません。
一般的な品質の製品であれば連続稼働は可能です。ただし定期的に埃の掃除をして、冷却性能を維持することをおすすめします。
空冷の消費電力

基本はファン駆動のみ
- 構造がシンプル
- アイドル時も低消費
- ファン停止機能も搭載
空冷クーラーはヒートシンクとファンのみで構成され、ポンプを使わないぶん消費電力は少なく抑えられます。アイドル時にはファン回転数が大幅に低下する機能を持つモデルもあり、さらに消費を減らせるケースがあります。メンテナンスも比較的シンプルです。
はい、低負荷ではファンを停止させるセミファンレス機能を持つクーラーも存在します。その分、省電力が期待できます。
高圧ファン採用モデルでも低消費
タワー型ヒートシンクに高静圧仕様のファンを組み合わせる空冷クーラーもありますが、消費電力自体は大きくはありません。ファンが2基になる場合でも、基本的には数W程度の増加で済むことが多いです。CPU冷却性能を保ちながら省エネ性も実現できる点がメリットです。
大丈夫です。回転数次第で消費電力は微増しますが、調整次第では騒音や消費を抑えつつ高冷却を維持できます。
LED 付きでも増加はわずか
- RGB搭載で数W程度
- 点灯制御で省エネ可
- 装飾性も重視可能
LEDやRGBファンを搭載した空冷クーラーでも、消費電力の増加はごくわずかです。LED制御により明るさや点灯パターンを抑えることで、さらに電力を削減できます。外観を重視しつつも省エネに配慮したいユーザーには、バランスのとれた選択肢となるでしょう。
専用ソフトやマザーボード連動機能で調整できるモデルがあります。発光をオフにすれば消費電力を少しだけ抑えられます。
負荷変動による上下幅が小さい
空冷クーラーは、負荷に応じてファンの回転数が上下するだけなので、消費電力の変動幅が比較的小さいといえます。CPU温度が上がっても、モーターを駆動するポンプを持たないため、簡易水冷に比べてピーク時の増加が抑えられる点が特長です。
ファンの消費電力が最大になるため、アイドル時より数Wほど上がります。それでも簡易水冷ほどの上乗せにはならないケースが大半です。
総合ピークでも 4–6 W 程度
空冷クーラーはファンが1~2基程度なら、ピークでも数W台の範囲に収まる場合が一般的です。大きめのヒートシンクを装備していても、結局はファン駆動のみなので、システム全体の消費電力に与える影響は比較的軽微です。
回転数とサイズによって多少変わりますが、数ワット程度の増加に留まるモデルがほとんどです。過度な心配は不要です。
簡易水冷人気モデル7選
Corsair iCUE H150i ELITE LCD XT 2.1″

NZXT Kraken Elite 360 RGB 大型2.36″

Arctic Liquid Freezer III 360

Cooler Master MasterLiquid 360 Atmos

be quiet! Silent Loop 2 360 Silent Wings

MSI MAG CORELIQUID M240

Thermaltake Floe Ultra 360

空冷人気モデル7選
虎徹 MARK3

Noctua NH-D15 chromax.black

Thermalright Phantom Spirit 120 EVO

be quiet! Dark Rock Pro 5

Cooler Master Hyper 212 Halo

Arctic Freezer 36

Noctua NH-U12A

設置時の注意点
ケース内スペースと干渉チェック
大型クーラーを導入する際は、ケース内に十分なスペースが確保されているかを確認しましょう。ラジエータやヒートシンクがマザーボードやメモリと干渉しないかも重要です。とくに簡易水冷ではチューブの取り回しスペースを考慮し、適切な配置を検討してください。
マウント圧とグリスの均一塗布
クーラーを取り付ける際は、過度なマウント圧にならないようマニュアルに従いましょう。CPU表面にグリスを均一に塗布することで、熱が伝わりやすくなります。塗りすぎや塗りムラは冷却性能低下の原因になりやすいので注意してください。
エアフロー設計とファン向き
エアフローが乱れると、効率的な冷却が難しくなります。吸気・排気ファンの向きを確認して、熱がこもりにくい流れを作ることが大切です。とくに前面吸気と背面排気を基本に、GPUなど他パーツの熱も意識してファン配置を工夫すると効果的です。
まとめ
- 簡易水冷はポンプ分消費
- 空冷はファンのみ低コスト
- LEDやLCDで数W増
- 静圧ファンは高冷却
- アイドル時は低負荷
- 高負荷時は回転数上昇
- 設置時の干渉に注意
- グリス塗布は適量厳守
簡易水冷と空冷では消費電力や冷却効果、設置の自由度に違いがあります。自作PCのスタイルやケース内スペースを踏まえて選ぶと、最適なクーラー環境を構築できます。