簡易水冷を外付けにすると、ケース内部の熱源を効率よく排除できます。一方で設置スペースやコストなど、事前に押さえるべき注意点も存在します。本記事ではメリット・デメリットを分かりやすく解説し、簡易水冷の人気モデルや設置時のポイントもあわせて紹介します。
【簡易水冷】外付けのメリット

ケース内部の熱源を排除できる

- 廃熱を効率化
- 内部温度の安定
- 発熱部品を保護
ケース外にラジエーターを設置することで、発熱しやすいパーツ周辺の温度上昇を抑えやすくなります。内部スペースに余裕ができ、パーツ同士の熱干渉も減らしやすいのが特徴です。結果的にパフォーマンスを安定させやすく、冷却効率の向上も期待できます。
外付けにすることでケース内部の熱源を効果的に排除できます。ただし、冷却ファンの配置やラジエーターの設置位置もしっかり検討しましょう。
エアフロー設計がシンプルになる

外付け化によってケース内の風の通り道がシンプルになり、ファンの配置に自由度が出ます。空気の流れが整いやすいぶん、個々のパーツを冷やす効率が上がりやすい点も見逃せません。結果としてパーツ寿命や動作の安定性に寄与します。
ファンの吸気と排気を考慮し、熱源を排出しやすい向きにするのがポイントです。外付け構成ならケーブル類も干渉しにくいので、初心者にも取り組みやすいでしょう。
大型ラジエーターを活用できる
- 高い冷却性能
- 大口径ファン対応
- 余裕ある排熱
ケース外に取り付けることで、大型サイズのラジエーターを採用しやすくなるのも魅力です。サイズに余裕があればファンの回転数を下げられるため、騒音を抑えつつ冷却性能を確保可能。PCを高負荷で運用する場合にも安定した熱管理が行えます。
負荷の高い作業や長時間動作を想定するなら余裕のあるラジエーターがおすすめです。音が気になる方にも有効な選択肢になります。
メンテナンスが楽
外付けタイプはラジエーターやファンが手の届きやすい場所にあるため、ホコリの清掃や部品交換などの管理が簡単になります。熱交換部がケース内に比べて狭い空間に埋もれにくいので、メンテナンスに割く時間や手間が軽減されるでしょう。
使用環境やホコリの多さに左右されますが、3か月から半年に一度程度の清掃で安定度を維持しやすくなります。
ビルドの見た目がスッキリ
外部にラジエーターを置くので、ケース内部に収まるチューブやファンの数を必要最小限に抑えられます。結果として内部の見栄えが良くなり、LED照明などもより引き立つレイアウトが可能です。PCをインテリアとしても楽しみたい人に好評です。
外付けによりケース内部の配線をすっきりできるので、LEDやデザイン性も強調しやすいです。自由度が高まる点が大きな魅力ですね。
【簡易水冷】外付けのデメリット

設置スペースを取る

- 周囲の設置面積拡大
- ケーブル取り回し
- 部屋のレイアウト左右
外付け構成はラジエーター本体が外に出るため、想定以上のスペースを必要とします。机や周辺機器との位置関係も考慮しないと配線が煩雑になりがち。設置場所に余裕がない場合は注意が必要です。
スペースに余裕があれば問題ありませんが、狭い環境だとレイアウトに制約が出ます。あらかじめ寸法を確認しておくことが大切です。
チューブ長が長くなりやすい
外にラジエーターを置く都合上、チューブが長くなりやすい点は見逃せません。チューブの取り回しが複雑化すると、見た目だけでなく冷却効率にも影響が出る可能性があります。干渉や折れ曲がりに注意しましょう。
チューブが過度に長いと循環効率に悪影響が出る場合があります。無理な配線を避けて、スムーズに冷媒を回すことがポイントです。
移動・搬送が不便
- 一体化しにくい
- 運搬時に注意
- チューブ取り扱い
外付けラジエーターはPCと一体化していないため、移動の際に別々に持ち運ぶ必要が生じる場合があります。チューブや配線が絡まないように配慮しなければならず、すばやいレイアウト変更や他所への搬送には少々手間がかかります。
チューブをまとめておき、ラジエーターは段ボールなどで保護するのがおすすめです。ケースとの接続部分を傷つけないよう注意してください。
漏液リスクが周囲に拡大
何らかのトラブルで漏液が起きた場合、ケース外にあるラジエーターやチューブから水が広範囲にこぼれる可能性があります。周辺デバイスや床に被害が及ぶことも考え、定期的なチェックやしっかりとした固定を心がけることが大切です。
取り付け時のシールチェックと定期的なメンテナンスが重要です。ネジの緩みや接合部の亀裂にも注意しておきましょう。
コストが高くなりやすい
外付けを実現するには、標準的な簡易水冷キットよりも高価な構成になることが多いです。大型ラジエーターや専用マウンターなどを別途用意する場合は、さらにコストがかさむ点を念頭に置きましょう。全体的な予算管理が重要になります。
ラジエーターやポンプ性能の高いモデルを選ぶほど値段が上がります。専用のホースや取り付け金具も追加費用の原因となります。
簡易水冷人気モデル7選
Corsair iCUE H150i ELITE LCD XT 2.1″

NZXT Kraken Elite 360 RGB 大型2.36″

Arctic Liquid Freezer III 360

Cooler Master MasterLiquid 360 Atmos

be quiet! Silent Loop 2 360 Silent Wings

MSI MAG CORELIQUID M240

Thermaltake Floe Ultra 360

設置時の注意点

ケース内スペースと干渉チェック
外付けラジエーターを取り付ける前に、ケース内部でファンやチューブと干渉しないかを確認しましょう。特にグラフィックボードや電源ユニット周辺は寸法ギリギリの場合があり、無理に配線するとパフォーマンス低下や破損につながる可能性があります。
グラフィックスカードやメモリスロット付近、配線を通すホールなどが干渉しやすいです。寸法を測ってから取り付けましょう。
マウント圧とグリスの均一塗布
CPUブロックの取り付け時には、正しいマウント圧と熱伝導グリスの均一な塗布が不可欠です。圧力が偏ると接触面に隙間が生じ、高性能な水冷システムでも冷却効率が下がるおそれがあります。適量のグリスを塗り、対角線上にネジを締めるなどしてバランスをとりましょう。
CPUサイズに合わせて中央に薄く広げる程度が理想的です。厚塗りや塗りむらを避けることが大切です。
エアフロー設計とファン向き
ラジエーターを外付けした場合でも、ケース内部のファン向きとエアフローの流れは整合を取る必要があります。吸気と排気のバランスが崩れると、想定外の熱溜まりが生じやすくなるため、ファンを取り付ける位置と風の流れを意識してください。エアフローを理解して設置すれば効果が高まります。
基本的に前面や底面から吸気し、背面または上部から排気するのが定番です。外付けの場合も、内部の流れを妨げないよう配置しましょう。
記事のまとめ
- 外付けで排熱効率を高めやすい
- ケース内のエアフローが整理しやすい
- 大型ラジエーターを選択しやすい
- メンテナンス性が向上する
- 見た目のカスタム性が広がる
- スペースやコストの問題がある
- チューブが長くなり設置が複雑化
- 移動や搬送時に工夫が必要
外付け簡易水冷は、高い冷却性能と拡張性を求める人に魅力的な選択肢です。スペースと予算を考慮したうえで、快適なクーリング環境を整えてみてください。