高いパフォーマンスを重視するPCユーザーにとって、簡易水冷は強力な冷却性能と比較的静かな運転音が魅力です。しかし、「ブーン」という異音が出ると快適性も半減してしまいます。本記事では、異音の主な原因と対策、さらにはおすすめモデルと設置時の注意点についてわかりやすく解説します。
簡易水冷「ブーンという異音」の原因

ポンプ内の空気混入

・エアが溜まりやすい
・冷却効率が下がる
・漏れトラブル増加
ポンプ内部に混入した空気が循環するたび、振動が増幅されて「ブーン」という異音が生じやすくなります。エアが停滞すると冷却能力も低下し、パーツ寿命に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対処が重要です。発生頻度が増えたら点検を検討しましょう。
ケースを傾けたり、ラジエータを上にして動作させると効果があります。エアが抜ければポンプ振動が安定し、異音の軽減につながります。
ポンプ軸の摩耗・潤滑不足
ポンプ軸が摩耗すると、潤滑不足により回転が不安定になります。さらに軸ブレが起きるため異音だけでなく、ポンプ自体の効率も低下しやすい点に注意が必要です。長期間使用したクーラーほど症状が顕著に現れることがあります。
大きなガタつきが出ている場合は交換が望ましいですが、潤滑剤の補充で改善するケースもあります。まずは症状を確認しましょう。
ポンプ振動による筐体共振
・振動が増幅する
・ケース素材に伝わる
・共鳴音が持続する
ポンプからの振動が筐体に直接伝わると、特定の周波数帯で共鳴しやすくなります。わずかなズレでもケース全体が共振し「ブーン」という響きが強まることが多いため、材質や固定方法の見直しが重要です。特に軽量アルミケースなどは注意が必要です。
防振パッドやシートを用いると共振が抑えられます。素材の厚みにより効果は変わりますが、振動対策として十分有効です。
ファンのアンバランス回転
ファンブレードにほこりが付着したり、一部が欠けていると回転時の重心がズレて振動を生みやすくなります。異音だけでなくファンモーターにも負荷がかかるため、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。状態を見極めて適切な処置を行うことが大切です。
欠け方が大きい場合は偏芯が激しくなるため、交換を推奨します。小さい破損でも振動や異音の原因となり得るので注意が必要です。
PWM/電源ラインのノイズ干渉
PWM信号は高速なパルスでファンやポンプを制御するため、電源ラインに微弱なノイズが乗ると異音が増幅されることがあります。特に負荷変動が激しい環境では干渉が起こりやすいため、ケーブルの取り回しや設定変更による微調整が効果的です。
BIOS設定でPWM周波数を変更したり、ケーブルをまとめて離すだけでも改善する場合があります。干渉源を減らすことがポイントです。
簡易水冷「ブーンという異音」がした時の対策

エア抜きと配置見直し
・ラジ上部配置推奨
・配管へ空気が集まる
・振動抑制に有効
エア抜きを正しく行うには、ポンプが空気を巻き込みにくい位置関係に設置することが大切です。ラジエータを上部に配置すると効率的に空気が抜けやすくなり、ポンプへの負担や異音の原因を軽減できます。メンテナンス時に定期的な確認をしましょう。
空気が抜けやすいレイアウトなら異音が軽減する可能性は高いです。ただしポンプやファンの状態次第で効果は異なります。
ポンプ/ファン回転数チューニング
ポンプやファンの回転数を下げれば振動音は抑えられますが、その分冷却性能も低下しがちです。温度センサーでCPU温度を監視し、安定動作範囲を維持できるギリギリの速度を探るのが理想的です。ファンコントローラーで細かく調整すると効果的でしょう。
マザーボードのファン制御機能でも効果がありますが、手動で細かくカーブ設定するとより理想的なバランスを得られます。
防振材の追加
・衝撃を緩和する
・振動伝達を分散
・ケース共鳴を抑制
防振材をポンプやファンの取り付け部分、ケース底面などに貼り付けることで、振動が直接伝わるのを和らげられます。ケース自体の素材が薄い場合でも、防振材によって共鳴が軽減されるため、異音の原因を根本から抑えやすくなるでしょう。
ウレタンやシリコンなど柔軟性のある素材が一般的です。貼り付けやすく、厚みを適度に調整しやすいタイプを選ぶと良いでしょう。
ファン清掃・交換
ファンにたまったほこりや汚れは回転バランスを崩し、異音の原因となります。定期的に清掃することで振動を抑えられ、冷却効率も向上しやすくなります。それでも音が解消されない場合は、ファン自体の劣化が疑われるため交換を検討しましょう。
ベアリングの摩耗などが原因かもしれません。部品交換をするか、一度ほかのファンと差し替えて症状を確認してみてください。
PWM周波数変更またはDC駆動
PWMの周波数を変更することで、共振ポイントを外せれば異音を低減できる可能性があります。あるいはDC駆動に切り替えれば、パルスノイズの発生を抑えられるので、ポンプやファンの振動が気になる際には試す価値があります。
微妙な回転数制御は難しくなりますが、電気的なノイズが減るため異音を抑えやすいというメリットがあります。
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設置時の注意点

ケース内スペースと干渉チェック
ラジエータやファンのサイズによっては、マザーボードやメモリに干渉する場合があります。実際の寸法を測り、ケーブル類との取り回しにも余裕を持たせましょう。特に360 mm以上の大型ラジエータはケース上部や前面などにしっかり収まるか確認が必要です。追加のケースファン枠も確認してください。
干渉ギリギリの場合は設置後の配線作業が難航することがあります。多少余裕のあるケースを選ぶとメンテナンスもしやすいです。
マウント圧とグリスの均一塗布
クーラーヘッドをしっかり固定しつつ、グリスが均一に広がるよう取り付けることで、冷却効率と静音性が向上します。マウント圧が弱いと接触が不十分になり、冷却性能が落ちる可能性があります。逆に強すぎると基板を歪ませるリスクが生まれ、異音や故障の原因につながるでしょう。適切な圧力と塗布バランスを見極めることが重要です。
CPU表面が均一に隠れる程度が目安です。塗りすぎると流れ出てしまい、塗り足りないと冷却効果が落ちるので注意してください。
エアフロー設計とファン向き
吸気と排気のバランスが悪いと、ケース内部に熱がこもりやすくなります。ラジエータをどの向きで配置するか、ファンの回転方向をそろえるなど、全体のエアフローを考慮することが重要です。一般的には前面から吸気し、上部や背面から排気させるレイアウトが多いですが、パーツ構成によって最適な風の流れは変わります。
吸気と排気が逆転し、ケース内部の空気が循環しにくくなる可能性があります。冷却能力や異音に悪影響を与えるので注意しましょう。
記事のまとめ
- ポンプやファンからの異音は早めの点検が必須
- エア抜きや配置を見直して空気混入を回避
- 回転数調整は冷却性能とのバランスを見極め
- 防振材の追加や筐体共振対策も有効
- ファンの清掃や交換で安定した回転を確保
- PWMノイズが気になる場合は周波数を変更
- 設置時はサイズやマウント圧に注意する
- エアフロー設計は吸排気の流れを意識
簡易水冷クーラーは高い冷却性能と静音性を両立できる魅力的な選択肢です。しかし「ブーン」という異音が発生したら、原因を絞り込んで早めに対処することが快適なPCライフへの近道となります。